(参考)各国における関連立法及び判例


【米国著作権法等】

米国著作権法上、コンピュータプログラムについては、コピープロテクト解除装置を直接規制する規定はない。
 DATのSCMSの解除装置については、著作権法第1002条(c)において、「いかなる者も、全体的または部分的にSCMSまたは同様のシステムを実施するためのプログラムまたは回路を回避し、迂回し、除去し、機能を阻止し、またはその他の方法で回避することを、主たる目的または効果とする何らかの装置を輸入し、製造し、もしくは頒布し、またはそのようなサービスを提供もしくは履行してはならない」と規定されている。
 通信については、通信法第605条(e)(4)において、「電子的、機械的またはその他の装置もしくは設備を、当該装置もしくは設備が主として衛星ケーブル番組の無断解読の援助用であることを知り、または知るべき理由がありながら、製造し、組み立て、修正し、輸入し、輸出し、販売し、もしくは頒布した者、または605条(a)によって禁止されるその他何らかの行為を目的とする者、に対しては各侵害行為につき50万ドル以下の罰金、もしくは各侵害行為につき5年以下の拘禁、またはその両方を課するものとする。本項の侵害によって課される刑罰および救済手段のすべてについて、ここに定める禁止行為はかかる装置の各々への適用に際し、各別の侵害行為とみなされる」と規定されている。

【米国の判例】

 米国著作権法第117条(2) の規定(記録保存用の複製)に照らし、当該装置が、実質的に著作権を侵害(寄与侵害)するか否かが判断された判例が存在する。主要な判例は以下のとおり。
《アタリ対JS&Aグループ事件(597 F. Supp. 5(N.D. Ill. 1983))》
 原告アタリ社は、視聴覚著作物である該社のビデオゲームのバックアップコピーを行う装置を販売するのは著作権侵害に当たるとして、被告JS&A社を提訴。
 被告は、ゲームの複製行為については適法な使用形態もあることから当該装置の販売は侵害に当たらないと主張したが、裁判所は、その使用形態が実質的に非侵害であると立証する必要があるとして被告の主張を退けた。
 なお、被告は、米著作権法第117条により、記録保存用の複製をすることは許されることから当該複製装置は適法であり、装置を使ってバックアップコピーを作成することは適法であるとの主張も行ったが、裁判所は、同条により許されるのは電気的または機械的故障に備えてバックアップコピー(アーカイブ)を作成する場合であり、本件のようにROMにプログラムが固定されている場合は、物理的な故障が大部分であり、同条に適用はないとした。
《ソニー対ユニバーサル事件(464 U.S. 417 (1984))》
 原告ユニバーサル社は、商業テレビジョンで放映された該社の著作物をVTRにより録画する行為は原告の著作権を侵害しており、また、当該VTRを販売する行為は著作権侵害の責任(代位責任)を有するとして、被告ソニーを提訴。
 裁判所は、VTRに映画を複製する機能があるにしても、その装置が適法な目的に広く使用されていれば、それによってこの装置の製造者を寄与侵害者とすることはできず、また、無許諾の家庭内録画であってもタイム・シフティング目的の場合には公正使用となるため、VTRは実質的に非侵害的な使用をすることができるとして、公衆に対してVTRを販売することは寄与侵害に当たらないとした。
《ヴォールト対クゥエイド事件(847 F.2d 255(5th Cir. 1988))》
  ヴォールト社は、該社のプログラムの保護機能を無効とし、プログラムの複製物を作成できる機能を含むソフトを開発し販売した被告クゥエイド社を寄与侵害に当たるとして提訴。
 プログラムの保護機能を解除するソフトの販売は寄与侵害に当たるとの原告の主張に対し、裁判所は、当該ソフトにより無許諾の複製物を作成することが可能であることを認める一方、当該ソフトの購入者が同条第117条(2)により許される記録保存用の複製物を作成するのに用いられるとともに、新しいコンピュータプログラムの品質を分析するための診断用ツールとしても用いられるため、実質的に非侵害的使用を提供しており寄与侵害の責任はないとした。

【コンピュータプログラムの法的保護に関するECディレクティブ】

第7条 特別の保護手段
1.加盟国は、第4条、第5条及び第6条の規定を害することなく、その国内法に従って、次の(a)(b)及び(c)に掲げるいずれの行為を侵す者に対抗する適切な救済措置を定めるものとする。
(c) コンピュータ・プログラムの保護のために適用されている技術的装置の無許諾での除去又は回避を促進することのみを目的としている手段を流通させ又は商業用目的で所持する行為
2.〜3. 略

【独における判例】

 ドイツにおいては、「コピープロテクトを回避するプログラムの頒布は、既にコピープロテクトをかけてあるオリジナルプログラムを所有しているユーザーに対してのみ売られるものであり、オリジナルプログラムの製造者や販売者の市場努力や成果を不法に利用することである」として、従前よりコピープロテクト解除装置の規制は不正競争防止法で規制される旨の判例が存在する。
 具体的には、ミュンヘン裁判所は、ハードウエアロックを回避するプログラムを流通させることは、他人の努力を搾取することであり、不正競争防止法の第1条に規定する不正競争に該当するとして回避プログラムの提供を禁じるとともに、回避プログラムの流通者に損害賠償を命じた(1994年11月3日)。この他に、
Stuttgart裁判所(1989年2月10日)及びデュッセルドルフ裁判所(1989年7月6日)においても、回避装置の流通及び提供を不正競争防止法の第1条違反とする内容の判決が出されている。